外国人観光客が日本に来る理由は?
訪日客の関心が高まる背景を紹介
外国人観光客が日本に来る理由は様々です。日本は魅力が多い国であり、複数の理由が挙げられます。
本記事では、外国人観光客が日本に来る理由とインバウンド市場に関する様々なデータを紹介します。外国人観光客に人気のある商品も紹介するので、外国人観光客の増加に備えて、商品開発や販路拡大を検討している企業の方は参考にしてください。
外国人観光客が日本に来る理由は「観光・レジャー」が約8割
外国人観光客が日本に来る理由は「観光・レジャー」が約8割
外国人観光客が日本に来る理由は様々ですが、「観光・レジャー」が約8割を占めています。国土交通省観光庁のデータを参照すると、来日理由の割合は以下のとおりです※1。
主な来訪目的 |
割合 |
観光・レジャー |
79.2% |
業務(展示会・見本市、国際会議、企業ミー ティング、研修、その他ビジネスなど) |
11.3% |
その他 |
9.5% |
主な来訪目的 |
割合 |
観光・レジャー |
79.2% |
業務(展示会・見本市、国際会議、企業ミー ティング、研修、その他ビジネスなど) |
11.3% |
その他 |
9.5% |
細かな分類では「日本食を食べること」「自然・景勝地観光」「ショッピング」「テーマパーク」などの理由が多く挙げられています※2。
回答 |
回答割合 |
日本食を食べること |
36.0% |
日本の酒を飲むこと |
2.0% |
旅館に宿泊 |
1.6% |
温泉入浴 |
5.5% |
自然・景勝地観光 |
11.5% |
繁華街の街歩き |
2.5% |
ショッピング |
8.6% |
美術館・博物館など |
2.5% |
テーマパーク |
8.5% |
スキー・スノーボード |
1.4% |
その他スポーツ |
0.9% |
舞台鑑賞 |
1.5% |
スポーツ観戦 |
0.6% |
自然体験ツアー・農漁村体験 |
1.3% |
四季の体感 |
3.0% |
映画・アニメ縁の地を訪問 |
0.9% |
日本の歴史・伝統文化体験 |
4.9% |
日本の日常生活体験 |
3.0% |
日本のポップカルチャーを楽しむ |
1.7% |
治療・検診 |
0.1% |
外国人観光客が旅行中に行ったことは、トップが「日本食を食べること」で36.0%、次に「自然・景勝地観光」が11.5%、「ショッピング」が8.6%と続きます。日本食を食べることや自然・景勝地観光、ショッピングは、次回以降の来日でしたいこととしても挙げられています。
一方、消費額では飲食代より買物代の方が高いとのデータもあります。人気ゲーム・アニメのグッズ・日本が感じられるデザインのものなどは、外国人観光客に人気がある商品の一例です。
公益財団法人 日本交通公社が中国人観光客を対象に行った調査では、日本製商品の「安全性」や「質の高さ」について評価されていることがわかります※3。また、「日本で購入したお土産がインターネットショップで購入できるなら、再度購入したい」と回答した人の割合は、7〜8割程度です。来日回数が多い人ほど、再購入を検討している人の割合は高い傾向にあります。
データを参考にすると、ショッピングは訪日理由に大きく関係しているだけでなく日本にまた行きたいと思うきっかけになっていることがわかります。
外国人観光客に関する調査データ
外国人観光客に関する調査データ
外国人観光客に関する様々なデータとして、以下の3つを紹介します。
● 外国人観光客数の推移
● 外国人観光客が多く訪れる日本の地域
● 外国人観光客の消費動向
インバウンド需要の現状を示すデータなので、インバウンド市場への参入を考えている方は参考にしてください。
外国人観光客数の推移
コロナ禍により落ち込んだ外国人観光客数は徐々に戻りつつあります。2018年から2023年までの外国人観光客数の累計は以下のとおりです※1。
年 |
累計外国人観光客数 |
2018年 |
3,119万1,856人 |
2019年 |
3,188万2,049人 |
2020年 |
411万5,828人 |
2021年 |
24万5,862人 |
2022年 |
383万2,110人 |
2023年 |
2,506万6,350人 |
2024年10月時点の外国人観光客数累計は3,019万2,600人であり、既に2023年の累計を追い越しています。2024年は約3,500万人、旅行消費額8兆円まで伸びる見込みです。
なお、外国人観光客急増の背景にはリピート客の増加が要因に挙げられており、外国人観光客全体のうちリピート客が約7割を占めています。日本への来訪回数に関する調査によると、結果は以下のとおりです※2。
来訪回数 |
割合 |
1回目 |
32.0% |
2回目 |
15.1% |
3回目 |
11.2% |
4〜9回目 |
25.0% |
10回目以上 |
16.8% |
特に韓国・台湾・香港などのアジア圏からのリピーターが多い傾向にあります。例えば、香港のみに限定した場合来訪回数が「10回目以上」と回答した人の割合は37.1%です。
外国人観光客が多く訪れる日本の地域
国土交通省観光庁の宿泊旅行統計調査を参考にすると、2023年に外国人観光客が多く訪れた日本の地域は、東京・大阪・京都です。次いで北海道・福岡・沖縄など、観光資源が豊富な地域が多い傾向にあります※1。
次の表では、外国人観光客の宿泊客数が多い順に1位~10位の都道府県をまとめました。
順位 |
都道府県 |
宿泊者数 |
1位 |
東京都 |
4,272万7,680人 |
2位 |
大阪府 |
1,848万840人 |
3位 |
京都府 |
1,211万9,590人 |
4位 |
北海道 |
677万5,200人 |
5位 |
福岡県 |
473万7,990人 |
6位 |
沖縄県 |
414万8,110人 |
7位 |
千葉県 |
324万1,150人 |
8位 |
神奈川県 |
266万5,810人 |
9位 |
愛知県 |
198万4,390人 |
10位 |
長野県 |
141万7,120 人 |
※1出典:国土交通省観光庁「宿泊旅行統計調査」
外国人観光客の消費動向
2023年の外国人観光客消費額は累計5兆3,065億円、ひとりあたりの旅行消費額は21万3,000円でありどちらも2019年を上回っています。また、国籍・地域別では、近隣アジア圏とアメリカの支出が大きく全体の割合の大半を占めています※1。
国籍・地域 |
旅行消費額 |
割合 |
台湾 |
7,835 億円 |
14.8% |
中国 |
7,604億円 |
14.3% |
韓国 |
7,392億円 |
13.9% |
アメリカ |
6,070億円 |
11.4% |
香港 |
4,800億円 |
9.0% |
オーストラリア |
2,088億円 |
3.9% |
タイ |
1,925億円 |
3.6% |
シンガポール |
1,714億円 |
3.2% |
ベトナム |
1,213億円 |
2.3% |
カナダ |
1,181億円 |
2.2% |
フィリピン |
1,103億円 |
2.1% |
イギリス |
1,050億円 |
2.0% |
マレーシア |
931億円 |
1.8% |
フランス |
912億円 |
1.7% |
インドネシア |
852億円 |
1.6% |
ドイツ |
693億円 |
1.3% |
イタリア |
509億円 |
1.0% |
スペイン |
389億円 |
0.7% |
インド |
385億円 |
0.7% |
ロシア |
108億円 |
0.2% |
その他 |
4,311億円 |
8.1% |
データを参照するとリピーターを含めアジア圏からの外国人観光客が多く、消費額も大きいことがわかります。近隣アジア圏に加え、消費額が大きいアメリカはインバウンド需要を取り込むにあたっての重要なターゲット層に位置付けられています。
インバウンド向けグッズEXPO
※インバウンド向けグッズEXPOはライフスタイルWeekの構成展です。
ライフスタイル Week
外国人観光客から見た日本の魅力とは?
外国人観光客から見た日本の魅力とは?
外国人観光客から見た日本の主な魅力は以下のとおりです。
● 伝統的な文化(お祭りや着物など)
● 自然や四季の美しさ
● 温泉・グルメ
● 礼儀・作法
● おもてなしの心
● 治安の良さ
● 現代カルチャー(漫画やアニメなど)
人気のある日本食をはじめ、着物やお祭りなどは日本ならではの文化として従来から人気があります。また、近年ではインターネットを通じて現代カルチャーに触れる機会が多いことから、人気の高いコンテンツとして漫画やアニメが挙げられています。
国土交通省観光庁の外国人観光客を対象にした調査では、アニメ・マンガ関連の施設やイベントやショップなどに関して、マニア層だけでなく一般層も関心を持っていることがわかっています。アニメや漫画の作品の舞台となった土地や建物を訪れる「聖地巡礼」とよばれる行動も人気です。
日本特有の文化である「ガチャガチャ」も人気が高いコンテンツのひとつで、近年では主要空港に100台以上のガチャガチャが設置されています。漫画・アニメのキャラクターから日本を感じられる和風のものまで、日本発祥のグッズを中心にお土産としても購入されています。
以下の記事では、外国人におすすめのお土産を紹介しているためぜひあわせてご覧ください。
外国人観光客が利用する主な情報収集の方法
外国人観光客が日本の情報を収集するために利用する媒体は、主にSNSや動画サイトです。
旅行前の情報源としては、日本政府観光局や航空会社、旅行会社などのホームページが約12〜15%に対し、SNS・個人ブログ・動画サイトは約30%前後の割合を占めています※1。旅行中に役に立った情報収集源は約5割の人が「スマートフォン」と回答しており、次いでパソコンが約3割です※2。
上記のデータから、外国人観光客は主にインターネットを通じて情報収集していることがわかります。
外国人観光客で拡大するインバウンド市場の現状と展望
外国人観光客で拡大するインバウンド市場の現状と展望
2023年の外国人観光客の旅行消費は総額約5.3兆円で、政府が観光立国推進基本計画のなかで掲げた目標である5兆円を超えました。2024年は外国人観光客数の回復によってさらに増加しています。7〜9月期の外国人観光客消費額は、2023年同期比で41.1%増です※1。
国連世界観光機関(UNWTO)の長期予測によると、国際観光客数は今後、2030年までの間に世界全体で年平均4,300万人のペースで増加するとされています※2。このような予測のなか、日本政府はインバウンドの受け入れ体制を整えています。2030年までの目標は、外国人観光客数6,000万人、外国人観光客消費額15兆円です※3。
これらのデータから見ても、コロナ禍のような予測不能な事態の発生を除き今後もインバウンド消費は大きく拡大していくことが予想されます。
インバウンド消費に関しては別の記事でも詳しく紹介しています。インバウンド消費についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
外国人観光客に人気のインバウンド向け商品
外国人観光客に人気のインバウンド向け商品
企業が外国人観光客増加にともなうインバウンド需要を取り込むためには、ニーズを把握した商品やサービスの展開も重要です。外国人観光客に人気の商品には、以下のものが挙げられます。
● 和風デザインの商品(うちわ、扇子、箸、ハンカチなど)
● 和菓子
● 日本酒
● 伝統工芸品(陶器)
● 推し活グッズ
● 漫画、アニメなどのキャラクターグッズ
前述のとおり、日本の漫画やアニメのキャラクターは外国人観光客にも人気が高く、聖地巡礼とよばれる行動やグッズの購入を目的に、日本を訪れる外国人観光客もいます。観光地や観光施設とコラボし、キャラクターを紐付けたグッズ開発など、様々なビジネス展開が行われています。
インバウンド向けグッズの種類や展開方法は様々です。インバウンド向け商品の開発や販路拡大を目指しているなら、関連企業が集まる展示会への参加もおすすめです。
日本に来る外国人観光客をより増やすための課題や対策
日本に来る外国人観光客をより増やすための課題や対策
日本に魅力を感じて旅行する外国人観光客が多くなるとともに、日本の課題点も浮き彫りになってきています。外国人観光客が旅行中に困ったと回答した内容のうち、割合が高かったものの一例は以下のとおりです※1。
回答内容 |
割合 |
ごみ箱の少なさ |
30.1% |
施設などのスタッフとのコミュニケーション(英語が通じないなど) |
22.5% |
多言語表示の少なさ・わかりにくさ(観光案内板、地図など) |
13.4% |
公共交通の利用(乗り場、経路の情報、乗換方法など) |
12.8% |
無料公衆無線LAN(フリーWi-Fi)環境 |
9.6% |
クレジット、デビットカードの利用 |
7.0% |
上記の内容をふまえると、外国人観光客増加への主な対策としては、以下が挙げられます。
● 観光しやすい環境の整備
● 多言語対応
● オーバーツーリズムへの対策
● 人手不足の解消
● 地域格差の改善と積極的な情報発信
それぞれ以降で簡潔に紹介します。
観光しやすい環境の整備
外国人観光客が旅行中に困ったことには、ゴミ箱の少なさ・多言語対応の不足・キャッシュレスへの未対応・Wi-Fiの少なさ・公共交通機関のわかりにくさなどが挙げられています。
インバウンドが増加しており今後も拡大に向けて取り組むのであれば、観光しやすい環境の整備は欠かせません。
多言語対応
外国人観光客が旅行中に困ったこととして「コミュニケーションが取れない」と回答した人が多くいます。これは、公的機関・施設だけでなく、一般企業にとっても解決すべき課題です。スタッフの多言語対応能力を向上させる他、観光案内や店舗のメニューも多言語への対応が求められます。
必要に応じてAI翻訳や多言語チャットボットを導入することで、学習にかかる時間や人件費などのコストを抑えながらスムーズな対応ができます。
オーバーツーリズムへの対策
外国人観光客の増加は日本経済の成長につながると期待されています。一方、「オーバーツーリズム」が問題視されています。オーバーツーリズムとは観光地や地域に過剰な数の観光客が集中することで、地域の住民・環境・観光地自体に悪影響を及ぼす現象を指す言葉です。
観光客の増加とともにゴミのポイ捨てなど観光客のマナーも課題となっており、観光地周辺の住民の生活の質を脅かすとして問題視されています。
観光客が増加している昨今、政府は「オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策パッケージ」をとりまとめ、外国人観光客が一部に集中することを避けるための対策やマナー違反を防止・抑止するための対策を推進しています。
人手不足の解消
日本は各業界で人手不足が年々深刻化しています。外国人観光客の増加に対しては、特に観光業やサービス業の人手不足が大きな課題です。
人手不足解消のために、労働環境の改善による国内人材の確保や外国人労働者の積極的な採用などの対応が求められています。
地域格差の改善と積極的な情報発信
現状、外国人観光客の訪問地は東京・大阪・京都などの大都市圏に偏っています。地方都市を訪れる方も一定数いますが、外国人観光客が集中するのは知名度が高い一部の地方都市です。東京に絞ってみてみても、渋谷・銀座・浅草など過度に外国人観光客が集中している地域があります。
特定の地域に観光客が密集するとオーバーツーリズムの問題へと発展しやすいため、観光資源を有効活用する以外にも観光しやすく整備したり効果的に情報を発信したりして、特定地域への過度な集中を避ける対策が求められています。
外国人観光客向けの商品開発・商談獲得なら「インバウンド向けグッズEXPO」へ
外国人観光客向けの商品開発・商談獲得なら「インバウンド向けグッズEXPO」へ
インバウンド需要の増加にともない商品開発や販路拡大を検討しているなら、ぜひ「インバウンド向けグッズEXPO」にご来場ください。「インバウンド向けグッズEXPO」は、インバウンドをテーマにしたBtoBの専門展です。メイドインジャパン製品・お土産・キャラクターなどインバウンド向けのグッズが出展します。
「インバウンド向けグッズEXPO」は「ライフスタイルWeek」の12ある構成展示会のひとつです。約1,100社が出展、約5万名のバイヤーが来場を予定しています。構成展示会のなかには外国人観光客にも人気が高い、日本の漫画やアニメのキャラクターグッズなどに関する展示会もあるため、インバウンド向け商品の開発・製造に関するヒントを得たい方はぜひご来場ください。
来場登録すれば無料で入場可能で、インバウンド向けグッズの製造・販売に関する情報収集だけでなく、新製品の受発注、OEM・ODMなどの商談にもつながります。
インバウンド向けグッズの開発・製造を行っている企業は出展側での参加も可能です。自社製品アピールの場や、新規リードの創出・受注につながる顧客獲得の機会にご活用ください。
食・自然・文化・治安・ショッピングなど、外国人観光客が日本に来る理由は多い
食・自然・文化・治安・ショッピングなど、外国人観光客が日本に来る理由は多い
外国人観光客が日本に来る理由は、観光・レジャーが約8割です。食への興味や観光地への興味、治安の良さなど、日本は観光に来る理由が多い国であり、アジア圏を中心にリピーターが多く存在します。なかでも、「日本食を食べること」「自然・景勝地観光」「ショッピング」は、高い割合で日本に来る目的に挙げられています。
また、日本製の商品は質が高く、和風デザインのうちわや扇子、ハンカチなどが人気です。日本の漫画やアニメなどのポップカルチャーは海外でも人気があり、日本でしか買えないアイテムを目的に来日する人も少なくありません。
インバウンドにともなう消費は、政府の目標を上回る経済効果を発揮しており、今後も伸びることが予想されています。外国人観光客増加に備えて商品開発や販路拡大を検討しているなら、ぜひ「インバウンド向けグッズEXPO」にご来場ください。多種多様なインバウンド向けグッズが集まるため、情報収集や買い付けにご活用いただけます。
来場・出展ともにメリットがあるので、ぜひ参加をご検討ください。
インバウンド向けグッズEXPO
※インバウンド向けグッズEXPOはライフスタイルWeekの構成展です。
ライフスタイル Week
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